交通事故の被害者に付与される権利と加害者に課される責任

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交通事故の加害者になったら、様々な責任を負うことになります。加害者が負う刑事責任と民事責任には、どんなものがあるでしょうか?一方、被害者になると、加害者に対して損害賠償請求権を得ることになりますが、受けた被害の全額を請求できるとは限りません。

賠償責任追及の仕組みや示談交渉の方法について解説しましょう。

交通事故で物損事故の被害者になったら何ができるか?

交通事故の加害者になったら

車を運転していて歩行者を轢いてしまった場合など、交通事故の加害者になったら、まず被害者を救助しなければなりません。安全な場所に被害者を移動し、心臓マッサージや止血など可能な限り応急処置をして救急車を待つことになります。

もし被害者を放置してひき逃げをすると、保護責任者遺棄罪等に問われることもあります。被害者が死んでしまったら、保護責任者遺棄致死罪になる可能性も否定できません。ただし、事故の起きた場所の状況に応じて、問われる罪の種類も変わってくるでしょう。

人通りが多く第三者が加害者の代わりに救助してくれる可能性が高い場所なら、罪は軽くなりますが、ほとんど人通りのない夜道など第三者による救助可能性が低い場所でひき逃げすると、重い罪になります。死んでも構わないと考えてひと気のない場所に被害者を放置したら、不作為の殺人罪に問われることもあるでしょう。

人を轢いてしまった後、救助するつもりで自分の車に乗せても、罪責を問われることを恐れて被害者を乗せたまま、病院に行かずに車中に放置したら、やはり重い犯罪になります。

交通事故の加害者が被害者に対して負う責任

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#被害者が怪我をした場合加害者は、被害者が受けた損害について民事上の賠償責任を負います。被害者が怪我をしたら、治療費や入院費のほか、通院費や後遺症のリハビリ費用なども負担することになるでしょう。事故当時後遺症の発生が明らかでなくても、後日後遺症が生じた場合、被害者は加害者に賠償責任を追及できます。

事故により被害者が受けた精神的ショックにつき、慰謝料も支払わなければならないし、休職した分について受け取れるはずだった給与に関しても弁済する義務を負うこともあります。#被害者が死亡した場合被害者が死亡した場合には、遺族に対して慰謝料を支払わなければなりません。

死亡した被害者本人の慰謝料請求権を、遺族が相続する形になります。また、被害者が死亡しなくても、若い女性が顔に酷い傷を負った場合など、「死亡に比肩すべき損害」として家族が負った心の傷に対して慰謝料を求められることもあるでしょう。

被害者が死亡した場合は、賠償額が高額になり、一般市民の個人資産では到底賠償しきれません。そこで、ドライバーは対人賠償責任に加入しておくことが必要です。対人賠償保険については、車検時に強制加入となっている自賠責保険がありますが、賠償上限額が低く、重大事故の被害については保証金額が不足するでしょう。

したがって、任意保険に加入するドライバーが少なくありません。

年間数万円の保険料を払えば、対人・対物ともに上限無制限の賠償責任保険に入れます。

被害者側に過失があるとき

#賠償額は過失割合によって定まる交通事故の原因として、青信号の横断歩道を渡っている歩行者を赤信号無視の自動車が轢いた場合などを除き、加害者だけに100パーセント責任があるというケースはむしろ少ないかもしれません。

被害者にも少なからず過失が認められる場合が多いと言えるでしょう。被害者にも過失が認められる場合、加害者が払う賠償金は過失割合によって減額されます。過失割合の算定は、被害者と加害者双方の保険会社が話し合って決めます。

算定基準は過去の裁判例によって定まり、類似した交通事故の過失割合に合わせて賠償額を算出するのです。#過失割合の具体例たとえば、駐車場内で車が歩行者を轢いた場合の過失割合は、車の運転者が9割で歩行者が1割になります。

車同士の事故の場合、双方青信号で直進車と右折車が衝突したら、右折車の運転者の過失割合が8割、直進車が2割という具合です。いずれかが何らかの注意義務違反をしていることが多く、過失割合が5分5分になることは少ないですが、双方とも過失割合がほぼ同程度で加害者も被害者と同様に死傷している場合、どちらが加害者でどちらが被害者か断定することは難しいでしょう。

交通事故の被害者がやってはいけないこと

被害者の車の同乗者は加害者にどれくらい損害賠償請求できるか?

上記のように、過失があっても被害者は過失割合に応じて損害賠償を加害者に請求できますが、被害者の車に同乗していた家族などが死傷した場合、賠償額の算定方法はどうなるのでしょうか?同乗者が死傷して慰謝料や治療費を全額請求したら、加害者は被害者に過失相殺した分の返済を求めるでしょう。

これでは迂遠なので、最初から同乗者についても過失相殺した分だけを賠償請求できることになっています。ただし、この場合の同乗者は、家族や内縁の配偶者など、身分・生活上一体とみられる関係にある者に限定されます。

他人の子どもや職場の同僚を乗せた事例では、こうした過失相殺が認められていません。

事故当時者の示談交渉の方法

交通事故が起きた場合、賠償金について当事者同士が示談交渉をすることになります。多くの場合、示談交渉を実際に行うのは、双方が加入している賠償保険会社です。ただし、保険会社が示談交渉の代行をできるのは、加入者に過失がある場合に限られます。

完全に無過失の被害者は、自分が加入した保険会社に示談交渉の代行を依頼できません。弁護士に依頼しない限り、被害者本人が加害者の保険会社と交渉することになります。紛争性のある交渉については、非弁活動と言って、弁護士以外の者が代理してはいけないことになっているからです。

しかし、示談交渉のプロである保険会社と被害者が直接交渉すると、被害者に不利な展開になるおそれがあるでしょう。そこで、高額の報酬を払って弁護士に代理を依頼することが必要になるのですが、賠償金額によっては弁護士に報酬を払うとほとんど利益がないかもしれません。

したがって、弁護士費用特約などを任意保険に付帯しておくことが大切です。

自転車で交通事故の被害者になったら!まずはやるべきことを確認しよう

交通事故の当事者になったらどんな権利義務があるか知っておこう

交通事故という災難はできるだけ避けたいものですが、いったん当事者になってしまったら、自分が不利にならないよう身につけておくべき知識があります。加害者になった場合に救護措置などを怠らないことや、賠償能力を補填するために任意保険に加入することの重要性などを認識しておきましょう。

被害者になったら示談交渉を有利に進められるよう、弁護士費用特約の付帯などを考えておくことが必要です。

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