交通事故の被害者になったときの裁判費用

交通事故38

自分が気をつけていても交通事故に巻き込まれてしまうことがあります。ほとんどの場合、交通事故は示談で解決します。しかし、示談がこじれて裁判を起こすとき、裁判の費用はどれぐらいかかるのでしょうか。また、どんなときに裁判を起こせばよいのでしょうか。

いつ自分が被害者になってしまうかわからない交通事故の裁判費用について詳しく解説します。

交通事故で物損事故の被害者になったら何ができるか?

交通事故の裁判は少ない

交通事故の裁判には2種類あります。刑事裁判と民事裁判です。刑事裁判は加害者が刑事責任を問われる裁判で、検察が申し立てる裁判です。交通事故の被害者が申し立てるのは民事裁判で、こうむった被害を算定し、加害者に支払いを命じます。

通常は交通事故の当事者同士の話し合いで解決する示談になるケースがほとんどですが、交通事故の加害者が任意の自動車保険に加入していた場合、事故の被害者は保険会社と交渉することになります。被害者が自動車保険に任意に加入していたとしても、保険会社に示談交渉をしてもらうことはできません。

保険会社が示談交渉の当事者になれるのは、保険の加入者に過失があり、賠償金を支払う場合だけなのです。加害者側の保険会社との示談交渉が決裂しても、すぐに裁判を起こす必要はありません。調停やADR機関を利用して紛争を解決するという手段があります。

調停は第三者として裁判所が介入することで紛争を解決する方法です。ADRは裁判外紛争解決手続きのことで、日弁連交通事故相談センター、交通事故紛争処理センターなどが第三者として介入し、紛争の解決に助力します。

裁判になるケース

交通事故の裁判には費用も時間もかかります。とはいえ、示談のときの加害者の代理人は、保険会社のプロの交渉人である場合がほとんどで、被害者は不利な立場です。加害者側の代理人から提示されるのは相場より低い補償額で、強硬な姿勢を崩さない場合もあります。

保険会社は被害者に支払う補償金を抑えるほど自社の利益になるからです。相手方の主張が客観的に間違っている場合には、裁判を起こすことで適切な補償金を受け取ることができます。相手方との交渉が長引いた場合には、遅延損害金の額が大きくなることがあります。

裁判によって遅延損害金を受け取り、経済的な利益を得ることもできます。裁判になるケースとしては、加害者側の保険会社から提示された事故の過失割合を争う場合や後遺障害の等級や認定に不満があるときに複数の算定基準についてどの基準を採用するかで争う場合、休業損害や逸失利益を算定するための収入の算定方法について争う場合などが考えられます。

示談交渉の途中で弁護士に依頼することもできますが、補償額が裁判所の基準に届かないこともあるからです。

裁判を起こすときの流れ

まず、訴状や証拠書類など、裁判に必要な書類を用意します。書類が整ったら、加害者に請求する金額が140万円までなら簡易裁判所に、140万円以上なら地方裁判所に提出します。管轄となる裁判所は、原告となる被害者の住所地または被告となる加害者の住所地、事故の発生地にある裁判所のいずれかです。

書類が裁判所に受理されると、第一回の裁判期日の調整連絡がきます。裁判の期日が決まると、被告側に裁判所から訴状と呼び出し状が郵送され裁判が始まります。

交通事故の裁判費用

交通事故の裁判で、裁判所に支払う費用は2つです。裁判手数料は、裁判の申立手数料です。申立手数料は裁判で争う額によって変わります。争う金額が100万円までなら手数料は10万円ごとに1,000円。

100万円から500万円では20万円ごとに1,000円といった具合に決まっています。たとえば、150万円を争う場合には、100万円までは10万円ごとに1,000円ですから10×1,000円=1万円と100万円を超えた部分の50万円については20万円ごとに1,000円で2.5×1,000円=2,500円ですが、端数は切り上げとなるので申立費用は1万3,000円となります。

申立費用は収入印紙の形で、裁判を提起する際に裁判所に納めます。

裁判は三審制のため、一審の判決が不服なら控訴、上告となりますが、申立費用はその都度かかります。関連サイト⇒アディーレ:法律事務所交通事故

手数料は控訴が一審の1.5倍、上告が一審の2倍です。

郵便料は裁判にかかわる書類を原告・被告双方に郵送するためにかかる費用です。申立費用と同じく裁判の申し立ての際に切手で裁判所に支払います。現金の場合は別の手続きが必要で、裁判所によって異なりますので注意してください。

郵便料は裁判所ごとに決められていて、原告・被告ともに複数人でも代理人となる弁護士が1人なら、郵便料の算定では1人として計算されます。

裁判の費用は、民事訴訟法によって原則として敗訴した側が支払うことになっています。裁判費用は提起する際に原告が立て替えているので、勝訴したあとに賠償金と一緒に被告から支払ってもらうことになります。

弁護士費用

交通事故の民事裁判では、弁護士に依頼することは必須ではありません。しかし、加害者側の保険会社は交通事故に強い弁護士をつけることが一般的です。被害者自身が提訴することもできますが、手続きや書類の作成は煩雑で、法律や事故の補償について知識がなければ裁判では圧倒的に不利です。

弁護士費用は弁護士報酬と交通費や通信費などの実費になります。弁護士報酬は弁護士活動を始める際にかかる着手金や弁護士活動の成果によって発生する報酬金・法律相談料・弁護士の日当などです。日当は弁護士が事務所以外で活動したときに発生する費用です。

距離や時間によって決まることが多いです。法律事務所によっては着手金を無料にしているケースもあります。着手金と報酬金の額は、日本弁護士連合会の報酬規定で定められており、この額が一定の目安となります。被害者が任意の自動車保険に加入して、オプションの特約として弁護士費用特約を付けている場合には、保険会社が定めた上限の範囲内なら弁護士費用は無料です。

弁護士費用特約は車両を契約車両に限定しておらず、レンタカーの運転中や徒歩で事故にあったときにも適用されます。敗訴側が支払う裁判費用として認められる弁護士費用は、通常、損害額の1割程度で、残りは被害者の自己負担となります。

交通事故の被害者がやってはいけないこと

交通事故の被害者になってしまったら

交通事故の被害者になったら、慌てずに警察を呼んで証拠の保全を行いましょう。加害者側の保険会社の代理人と安易に交渉や示談をせず、相手方の話を聞いた上で弁護士などの専門家に相談します。その上で、裁判の必要があれば提訴して損害に見合った賠償金を受け取りましょう。

まさかのときに備えて自動車保険を見直し、弁護士費用特約を検討するのも、いまできる防衛策といえます。

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